顆粒球吸着療法を受ける
患者さんへ
監修:銀座セントラルクリニック 院長 鈴木 康夫 先生
ここでは、患者さんやご家族の方が顆粒球吸着療法についての正しい知識の習得と理解を深めていただくために、詳しくご紹介いたします。

監修:銀座セントラルクリニック 院長 鈴木 康夫 先生

質問コーナー

A.
炎症性腸疾患では活性化した顆粒球が炎症部位に集まり、組織破壊に関与し治癒を遅らせたりしています。この療法は活性化した顆粒球や単球を吸着除去するだけでなく、血球成分の性質にも変化をもたらします。カラムを通過した顆粒球は炎症部位に行きにくい性質になり、炎症を亢進させる物質の産生能も低下します。また炎症性腸疾患の病態に関与する活性化血小板の数も減少します。これらの作用により炎症を抑制すると考えられています。
A.

顆粒球の寿命は末梢血中で十数時間と短く、常に骨髄から供給されています。また血液プール(骨髄から供給された血球を一時的に保存しておく場所)から新たに顆粒球が動員されるので減少することはありません。治療終了時には、ほぼ治療前の数に戻っています。

A.
循環時間は60分です。回路内に残った血液を体内に戻すのに要する時間などを含めますと90分程度です。治療中にトイレに行きたくなった場合は、治療を中断できますので安心してください。
A.
循環時間が60分で、1分間に30mL循環させますので、血液処理量は1.8Lとなります。
体重50kgの方の血液量は約4Lですので、全血液量の2分の1程度です。
A.
潰瘍性大腸炎、クローン病の臨床試験とも、循環時間60分、血液流量30mL/分で行いました。血液流量を多くすると、血球成分の吸着効率が低下します。逆に血液流量を少なくすると吸着効率が上がりますが、体外にでている血液が固まりやすくなります。
A.
アダカラム内に約130mL、専用回路内に約70mLで合計200mL程度です。
A.
確かに、血液を出すルートと血液を返すルート確保のために原則両腕に比較的太い針を挿入しなければならず、挿入時には多少の痛みを感じることがあります。そのような痛みを予防するために、治療開始30分前に針挿入部に貼る痛みを軽減する湿布剤がありますので、主治医に処方してもらってください。
A.
カラムの中に薬は入っていません(薬を使って採っているわけではありません)が、血液を循環させるため、治療中は血液を固まりにくくする薬(ヘパリンあるいはメシル酸ナファモスタット)を使用しています。
A.
炎症性腸疾患の治療によく用いられる薬(プレドニゾロン、メサラジン、6-メルカプトプリン*、インフリキシマブ、シクロスポリン)をヒト血清に添加しアダカラムのミニモデルに循環させ調べたところ、ほとんど吸着されませんでした。
免疫調節剤アザチオプリンの薬効成分
A.
赤血球は、ほとんど吸着除去されませんが、治療を受ける際には主治医の先生にご相談ください。
A.
潰瘍性大腸炎では、治療2~3回後から臨床的な改善が認められるという報告があります。ただし、かなり個人差があるようですので、1クール(5回)の治療の実施後に効果を見ていただき、2クール目の実施をご検討ください。
A.
炎症性腸疾患に対する治療法はGCAP以外にもありますので、心配せず他の治療法への変更が妥当か主治医と相談してください。ただし、GCAPの効果発現までには治療2回から3回要することがあり、開始直後から目に見えて効果が出現するわけではないことも承知してください。
A.
「特定医療費(指定難病)受給者証」を持っている方の場合、自己負担限度額以外にこの治療に対しての特別な負担はありません。
A.
保険は適用されますが3割の自己負担となります。高額療養費の払い戻し制度の対象となる場合がありますので、加入されている健康保険組合にご確認ください。